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EU統合により金融サービス市場を域内で統一した。 その結果、スペインやフランスの大手銀行は欧州の地銀という位置付けとなった。
これがEU域内の銀行の経営統合を促進した。 03年以降の欧州の株価、通貨の大幅な下落は、以下に起因すると考えられる。
産業政策として特に成功したのは金融業である。 欧州では、大陸の商業銀行を中心に金融が大きく成長し、03年までは株価も大きく上昇した。
ところが、03年2月以降、欧州金融セクターの相対株価は急速に下落した。 ピーク時の03年5月末時点では、欧州全体における金融の時価総額構成比は8・7%に達した。
その時点での先進国(除く欧州)の金融の時価総額構成比は27・0%であった。 当時の欧州でのセクター別時価総額順位は、2位の産業が2・6%、3位の消費循環が3・3%であった。
つまり、金融は欧州では図抜けて大きい産業であった。 3年以降、欧州通貨は大きく上昇した。
対ユーロ円相場は、ボトムの3年5月からピークの帆年7月までに銘・1%、英ポンドは対円で17・0%上昇した。 ただし、ピークの03年7月以降、対ユーロ円相場は17・3%、英ポンドは同27・1%下落した。
対ユーロ円相場は03年7月に170円と史上最高を記録した後、帆年3月には113円まで下落した。 史上最安値は17年8月の籾円である。

よって、見方によっては、下落余地があるとも言える。 10年からは欧州の景気が明確に回復していたにもかかわらず、その後も低金利(ECB政策金利2.0%)に据え置き、利上げに転じたのは06年と遅れた。
過度な金融レバレッジ、地価の高騰などを招いた。 また、遅れて利上げに転じたため、ユーロ高を招いたと考えられる。
ユーロの大幅な上昇によって、欧州企業の国際競争力が低下し、輸出増加率が鈍化した。 ユーロは急速に下落してはいるものの、通貨が輸出を増加させるにはタイムラグがあり、かつ世界景気が悪化しているため、通貨下落が直ちに欧州の輸出を増加させる状況にはない。
ECB(欧州中央銀行)の金融政策は実体経済と比較して遅れる傾向がある。 どの国でも金融政策は遅行する傾向があるが、ECBの金融政策の遅れは目立つ。
ユーロ圏の名目経済成長率(前年同期比)は06年4〜6月期の2.8%がボトムであったが、ECBが利上げに転じたのは06年である。 ユーロ圏の名目経済成長率(前年同期比)は03年1〜3月期5.5低くした。
06年から03年まで政策金利が名目経済成長率を大きく下回ったことが、過度なしバレッジを通じた株価、不動産価格上昇を招いたのかもしれない。 歴史的にECBが景気の遅行指標であるインフレ率を重視して金融政策を行うからである。
現在も、名目経済成長率よりも政策金利の方が高い。 言い換えると、金利引き下げの余地がかなりあるとも言える。

それに対して、英国はECBよりも金融政策を運営する傾向がある。 06年10月にはこれまでECBよりも高かった政策金利をECBの政策金利よりも議論を、構造要因と循環要因に分ける必要がある。
EUの拡大、産業政策の推進、中東、アフリカ、ロシアなど周辺諸国の成長、資源エネルギー価格の長期的な上昇、といった欧州経済の構造的な成長要因には大きな変化はないであろう。 よって、長期的に欧州経済が成長を持続する可能性は高いと言えよう。
ただし、以下の循環要因が欧州経済、株価、通貨の回復を遅らせる可能性が高いと考える。 欧州の景気サイクルは日米に比較して遅行している。
米国の経済成長率(前年同期比)のピークは90年4?6月期の4.1%、日本のピークは例年1〜3月期の4.2%であった。 ところが、ユーロ圏は帖年4〜6月期の3.3%、英国は03年7〜9月期の3.3%がピークであった。
ピークが遅れただけに、当然、回復も最も遅いと考えられる。 先述のように、欧州では金融が最大のセクターであり、かつ成長を牽引してきた。
その業績が大きく悪化したのである。 日本の教訓から、以下のことが言える。
第一に、公的資金投入金額が十分でない可能性があるということである。 経営悪化の結果として、欧州各国政府は銀行に公的資金を資本注入してきた。

その判断は日本ほどではないがやや遅れがちである。 第二に、銀行への資本注入では問題が解決しない可能性があることである。
17年に日本のバブルが崩壊し、政府は17?18年に集中して公的資金を投入した。 最終的に解決したのは03年の金融再生プログラムによる債務者のバランスシートリストラが効果を表した90年の資源エネルギー価格が適度に上昇するのが、欧州経済、株式市場にとってベストシナリオである。
最近の資源エネルギー価格急落は、BP、トタル、ロイヤル・ダッチ・シェルとである。 世界のソブリン・ウェルス・ファンドといった欧州エネルギーメジャーの業績、中東、アフリカ、ロシアなど近隣のエネルギー国の景気、財政を悪化させている。
このように、欧州バブル形成においては、オイルマネーを中心とするSWFが大きな役割を果たしてきた。 特に、SWFは、歴史は古いものの、注目されるようになったのは、比較的最近のことである。
SWFの急成長と共に、SWFによる資本市場、企業経営に対する影響が高まりつつある。 今後も、SWFの資産は大きく増加し、その影響力は高まると思われる。
アジア、中東の経常収支黒字を背景に、外貨準備やソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)の運用資産が増加している。 資産残高は、IMF推計では1.9〜2.9兆ドル(約200〜300兆円)の規模である。
ただし、これには国家運営の年金基金などの広義のSWFその規模は約6兆ドル(約600兆円)を超えると思われる。 仮に、世界のSWFの規模が6兆ドルとすると、ヘッジファンドやプライベートエクイティの運用資産を上回る。
投資対象も、ファンドによって異なる。 ロシア安定化基金のように、高格付債券に限定しているファンドもあれば、各国の株式、債券に分散投資しているファンド(ノルウェーの政府年金基金)もある。

また、アポロ・マネジメントに出資したアブダビ投資庁(ADIA)、ブラックストーンに出資した中国投資有限責任公司のように、プライベートエクイティファンドに投資しているケースもある。 ざらに、テマセク、GIC、カタール投資庁など、企業買収や出資に積極的なファンドも存在する。
SWFとは、その資産を主として金融商品で運用している政府所有の基金である。 それらのほとんどが中東、新興国のファンドである。
タイプ別では、石油、ガスなどのコモディティ輸出収入(いわゆるオイルマネー)が多い。 外貨準備金を資金源とするのは、シンガポール、中国、台湾、韓国、マレーシアのアジア新興国である。
17年以降に設立されたファンドが多い。 そこで、SWFの定義を整理する必要があると考え整理してみたが、どのように整理しても、矛盾点や不自然な点が残る。
IMFでは、SWFとは「政府により創設された特別投資ファンドで、長期目的で外貨建て資産を保有するもの」としている。 IMFは基金ではないサウジアラビア通貨庁(SAMA)や、国家ファンドではないアラスカ永久基金をSWFに含めている。

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